職場での対決その1
紆余曲折を経て、私は看護師になりました。
過酷な勤務形態、超多忙な業務内容、ミスは命に直結する為、常に緊張しており毎日ヘトヘトになっていました。
そんな怒涛のような毎日ですが、私のいい人スキルは健在でした。
中学生から磨きに磨いた伝統芸とも言えるいい人スキルは、もはや達人の域です。
常にニコニコ、怒らず、反論もせず、頼まれごとは何でも聞きます。
自分の意見を通したことは、多分1度もなかったと思います。
その後、結婚出産でそれまで勤めていた大学病院を辞め、子供が2歳になる頃、別の病院に再就職します。
配属されたのは終末期医療の病棟です。
積極的に病気を治療していくものとは異なり、病気とは付き合いながらも苦痛な症状を取り除き、平穏な生活を維持していこうというものです。
スタッフはベテランさんが多く、最初は冷たいと感じる人もいましたが、少しずつ馴染み、なんとか仲良くなり始めました。
しかし、1人の言動が引っかかり出します。
先輩のAさんです。
周りを見下したような態度を取る人で、笑いながら嫌味を連発したり、他人のミスを必要以上に騒ぎ立てたりしました。
そして私が言い返さないせいか、Aさんはだんだん私をターゲットにし出します。
毎日続く嫌みに、揚げ足取り。
私は心底参ってきました。
そんなある日、私の中で怒りが弾けます。
つづく